男性更年期における「精神的症状」
男性更年期(LOH症候群)では、身体症状(疲労・体重増加・勃起不全など)と同じくらい、精神的な症状が大きな問題になります。これは「テストステロン低下」と「心理社会的ストレス」が複雑に絡み合うためです。
1. 男性更年期の精神的症状とは
- 「気分の落ち込み」「不安」「イライラ」といった心の不調が代表的
- うつ病や不安障害と似ているため、区別が難しいことも多い
- 身体の変化(性欲低下・疲労・体型変化)がさらに自信喪失や抑うつ感を悪化させる
2. 主な症状の種類
(1)気分の変化
- 抑うつ気分(気持ちが落ち込む、楽しいことがない)
- 不安感、焦燥感
- イライラしやすい、怒りっぽくなる
(2)意欲・行動の変化
- やる気の低下(仕事・趣味への興味がなくなる)
- 集中力や記憶力の低下
- 社会的な活動からの引きこもり傾向
(3)睡眠の変化
- 入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒
- 睡眠の質が悪く、日中の疲労感・気分低下を助長
3. メカニズム
(1)テストステロン低下
- テストステロンは脳の セロトニン・ドーパミン系 に影響を与え、
「意欲・快楽・安定した気分」を支える役割を持つ - 低下すると、抑うつ・不安・無気力が出やすくなる
(2)心理社会的要因
- 40〜60代は「仕事・家庭・老後」など人生の転換期
- 役割の喪失感(定年、子育て終了)や将来不安が重なる
(3)身体症状の影響
- 性機能低下や体力減退 → 自信喪失
- 慢性疲労や痛み → 精神的ストレス増大
4. うつ病との違い
- 男性更年期による気分変化は 日内変動が大きく、波がある ことが多い
- 性欲低下や勃起不全など ホルモン低下に伴う身体症状を伴う のが特徴
- 一方で、男性更年期をきっかけに本格的なうつ病を発症する人もいるため注意が必要
5. 改善・治療アプローチ
生活習慣
- 適度な運動(脳内ホルモン分泌を促す)
- 睡眠の改善
- 趣味・社会活動を持つ
心理的サポート
- カウンセリング
- パートナーや家族とのコミュニケーション
医療的アプローチ
- 血液検査でテストステロン値を確認
- テストステロン補充療法(TRT):気分・意欲の改善に有効な場合あり
- 必要に応じて抗うつ薬・抗不安薬
6. まとめ
- 男性更年期の精神的症状は、テストステロン低下+心理的ストレス+身体的不調 の複合的な影響
- 代表的な症状は「抑うつ・不安・イライラ・意欲低下・睡眠障害」
- うつ病や不安障害と重なりやすいため、ホルモン検査を含めた総合的な診断 が重要