PDE5をやさしく解説

PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)を医療知識のない人にもわかるようにやさしく解説したものです


 PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)とは?

PDE5(ピー・ディー・イー・ファイブ)とは、体の中で「血管をゆるめる信号」を消す酵素のことです。
正式名称は ホスホジエステラーゼ5型(Phosphodiesterase type 5) といいます。


体の中でのはたらき

  1. 性刺激を受けると、体は「一酸化窒素(NO)」を出す
  2. NOは「cGMP」という物質を増やし、
    → 血管の筋肉(平滑筋)をゆるめる
    → 血液が流れやすくなり、陰茎が勃起する
  3. 勃起が終わったら、PDE5がcGMPを分解して元に戻す
    → 血管が再び締まり、勃起が収まる

つまりPDE5は、「勃起のON/OFFスイッチのOFF側」を担当している酵素です。


 PDE5阻害薬(PDE5 inhibitor)とは?

バイアグラシルデナフィル)などのED治療薬は、
このPDE5の働きを「一時的に止める薬」です。

PDE5をブロックすると…

  • cGMPが分解されにくくなる
  • 血管がゆるんだ状態が長く続く
  • 陰茎への血流が増え、勃起を助ける

というしくみです。


PDE5が多くある場所

PDE5は特に以下の場所に多くあります:

  • 陰茎の海綿体
  • 肺動脈
  • 血管の平滑筋

そのため、PDE5阻害薬はバイアグラシルデナフィル(ED治療)だけでなく、肺高血圧症の治療にも使われています。(例:シルデナフィル「レバチオ」)


PDE5の働きを止めすぎると?

PDE5を抑えすぎると、

  • 血圧が下がりすぎる
  • 頭痛、ほてり、めまい
    などの副作用が出ることがあります。

特に、ニトログリセリンなどの血管拡張薬と一緒に使うと、
血圧が急激に下がって危険です。


まとめ

項目 内容
名称 PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)
主な働き cGMP(血管をゆるめる物質)を分解して勃起を終わらせる
阻害薬の目的 cGMPの分解を防ぎ、血流を増やして勃起を助ける
主な薬 シルデナフィルバイアグラ)、タダラフィルシアリス)、バルデナフィルレビトラ
応用 勃起不全(ED)、肺高血圧症の治療
注意点 他の血管拡張薬との併用は危険(血圧低下)