男性更年期における「過度な疲労」

男性更年期(LOH症候群)における 「過度な疲労」 について詳しく解説します。


1. 男性更年期における「過度な疲労」とは

  • 普通の休養や睡眠をとっても 回復しにくい強い疲れ・倦怠感 を指します。
  • 一時的な疲労ではなく、慢性的に続くため生活の質(QOL)を下げる のが特徴です。
  • 「朝起きても疲れが取れない」「日中に強い眠気や倦怠感がある」「以前より仕事や運動の持久力が落ちた」などの形で現れます。

2. 原因のメカニズム

(1)ホルモン低下(テストステロン)

  • テストステロンは 筋肉量の維持・エネルギー代謝・集中力・やる気 に関与
  • 低下すると 筋力や持久力が落ち、エネルギー不足感 を招く

(2)自律神経の乱れ

  • 男性更年期では交感神経・副交感神経のバランスが乱れやすく、睡眠の質が低下 → 慢性疲労 に直結

(3)精神的要因

  • ストレスや抑うつ傾向は「心身疲労」として現れやすい
  • 「何をしても疲れる」「気力が出ない」といった症状につながる

(4)生活習慣病や加齢性変化

  • 糖尿病・高血圧・肥満など → 血流障害により筋肉や脳への酸素供給が不足 → 疲労感増大

3. 症状の特徴

  • 肉体的疲労:筋力低下、持久力低下、動くとすぐ疲れる
  • 精神的疲労:集中できない、意欲がわかない、頭がぼんやりする
  • 回復力の低下:休んでも改善しない、風邪などからの回復に時間がかかる

4. 診断の視点

  • AMSスコア の「活力・健康感」項目に反映される
  • 血液検査:テストステロン値、甲状腺機能、血糖値などを確認
  • 疲労の原因が 男性更年期由来か、他の疾患(甲状腺機能低下症・慢性疲労症候群・睡眠時無呼吸など) なのかを区別することが重要

5. 改善・治療アプローチ

生活習慣の見直し

  • 睡眠の質を高める(就寝前のスマホ・飲酒を控える)
  • 有酸素運動+筋トレ(血流改善とテストステロン分泌促進)
  • 食生活改善(高タンパク、鉄・亜鉛・ビタミンDを意識)
  • 禁煙・節酒

心理的サポート

  • ストレスコントロール
  • カウンセリングやマインドフルネス

医療的介入

  • テストステロン補充療法(TRT):ホルモン低下が確認された場合
  • 併存疾患(糖尿病・睡眠障害・甲状腺疾患など)の治療

6. まとめ

  • 男性更年期の「過度な疲労」は、単なる疲れではなく ホルモン低下+自律神経の乱れ+精神的ストレス+生活習慣病 が複合して起こる
  • 休んでも改善しない慢性疲労感 が特徴
  • 生活習慣の改善で回復が難しい場合は、ホルモン検査を含めた医療的評価が重要