シアリスと併用注意薬のイトラコナゾールについて

シアリス(タダラフィル)と併用注意薬のイトラコナゾール(Itraconazole)について解説します。


イトラコナゾールとは

  • 分類:抗真菌薬(トリアゾール系)
  • 主な適応
    • 皮膚真菌症(爪白癬、皮膚カンジダ症など)
    • 全身性真菌症(クリプトコッカス症、アスペルギルス症など)
  • 作用機序
    • 真菌の細胞膜合成に必要な酵素(CYP51)を阻害
    • エルゴステロール合成阻害 → 細胞膜障害 → 真菌増殖抑制
  • 特徴
    • CYP3A4阻害作用が強く、他のCYP3A4代謝薬の血中濃度を上昇させる可能性がある

シアリスとの相互作用(注意点)

  • シアリス(タダラフィル)は主にCYP3A4で代謝される
  • イトラコナゾールはCYP3A4を強力に阻害するため、シアリスの血中濃度が大幅に上昇する可能性があります
  • 血中濃度上昇により副作用リスクが増加:
    • 顔のほてり、頭痛、めまい
    • 動悸
    • 血圧低下
    • ごくまれに重篤な心血管系イベント

臨床上の注意

  1. 併用は禁忌ではなく「併用注意」
  2. 血中濃度上昇のリスクが高いため、シアリス服用量を減量して開始することが推奨される
    • 例えば通常10〜20mgを半分程度に減量
  3. 初回併用時は副作用のモニタリングが必須
  4. 心血管疾患のある患者は特に注意

まとめ

  • イトラコナゾールはCYP3A4阻害作用を持つ抗真菌薬
  • シアリスとの併用で血中濃度上昇 → 副作用リスクが増加するため、併用注意薬に分類
  • 初回併用時は低用量で開始し、症状モニタリングが重要

ポイント

  • シアリスの併用注意薬は大きく2種類:
    1. 血圧低下系薬(α1遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARBなど)
    2. CYP3A4阻害薬(リトナビル、エリスロマイシン、ケトコナゾール、イトラコナゾールなど)
  • イトラコナゾールは後者に該当し、血中濃度上昇による副作用リスクが主な懸念