シアリスと併用注意薬のボセンタンについて

シアリス(タダラフィル)と併用注意薬のボセンタン(Bosentan)について解説します。


ボセンタンとは

  • 分類:エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)
  • 主な適応
    • 肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療
  • 作用機序
    • エンドセリン受容体(ETA、ETB)を拮抗
    • 血管収縮を抑制 → 肺血管拡張
    • 肺動脈圧の低下、心機能の改善
  • 特徴
    • CYP3A4およびCYP2C9の基質
    • 自身もCYP3A4誘導作用があり、他の薬の血中濃度に影響を与える可能性がある

シアリスとの相互作用(注意点)

  • シアリス(タダラフィル)は主にCYP3A4で代謝される
  • ボセンタンはCYP3A4を誘導するため、シアリスの血中濃度が低下 → 効果が減弱する可能性があります
  • また、ボセンタン自体が血管拡張作用を持つため、併用により血圧低下が起こるリスクもあります
  • 臨床的に注意すべき症状:
    • 立ちくらみ、めまい
    • 動悸
    • 頭痛

臨床上の注意

  1. 併用は禁忌ではなく「併用注意」
  2. 血中濃度低下によるシアリスの効果減弱に注意
  3. 血圧低下症状が出やすいため、初回併用時や増量時はモニタリングが重要
  4. 必要に応じて、服用タイミングの調整やシアリス低用量開始を検討

まとめ

  • ボセンタンは肺動脈性肺高血圧症治療薬でCYP3A4誘導作用を持つ
  • シアリスとの併用で血中濃度低下 → 効果減弱および血圧低下リスクがあるため、併用注意薬に分類
  • 初回併用時は低用量開始・症状観察が重要

ポイント

  • シアリスの併用注意薬には大きく2種類:
    1. 血圧低下系薬(α1遮断薬、ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬など)
    2. CYP3A4に影響する薬(阻害薬・誘導薬)
  • ボセンタンは後者(CYP3A4誘導)で、シアリスの効果減弱が主な懸念