男性更年期における「体重増加」

男性更年期(LOH症候群)における 「体重増加」 について、ホルモン・代謝・生活習慣の観点から詳しく解説します。


1. 男性更年期における「体重増加」とは

  • 単に「食べ過ぎたから太った」というよりも、加齢と男性ホルモン低下による体組成の変化 が関わっています。
  • 特に 内臓脂肪型肥満(お腹周りの脂肪) が増えやすくなり、生活習慣病やメタボリックシンドロームと直結します。

2. 原因のメカニズム

(1)テストステロン低下

  • テストステロンには 筋肉量の維持・脂肪燃焼促進作用 がある
  • 低下すると筋肉が減少 → 基礎代謝が落ちる → 太りやすくなる
  • 脂肪細胞は「アロマターゼ」という酵素でテストステロンをエストロゲンに変えるため、
    脂肪増加 → テストステロン低下 → さらに脂肪増加 の悪循環に陥る

(2)加齢による代謝低下

  • 40代以降は筋肉量が自然に減少(サルコペニア傾向)
  • 同じ食事量でも消費カロリーが減り、体脂肪が増えやすい

(3)生活習慣の影響

  • 運動不足(デスクワーク中心)
  • 睡眠不足(テストステロンは睡眠中に分泌される)
  • 過度な飲酒・高カロリー食

(4)精神的要因

  • 更年期に伴う意欲低下やうつ傾向 → 活動量が落ちて体重増加

3. 症状の特徴

  • お腹周りの脂肪(内臓脂肪型肥満)が増える
  • 体脂肪率が上昇する一方で、筋肉量は減少する
  • 見た目では「ぽっこりお腹」「以前より体がたるむ」などが目立つ

4. リスク

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症 → メタボリックシンドローム
  • 動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞リスク上昇
  • 睡眠時無呼吸症候群の悪化
  • 性ホルモン低下による性欲・勃起機能のさらなる悪化

5. 改善・予防のアプローチ

(1)生活習慣の改善

  • 筋力トレーニング:下半身・大筋群を中心に鍛えるとテストステロン分泌UP
  • 有酸素運動:内臓脂肪を燃やし代謝改善
  • 睡眠の質改善:7時間前後の睡眠を目安に

(2)食事

  • 高タンパク(筋肉維持に必要)
  • 野菜・食物繊維を増やし、糖質・脂質を適正化
  • アルコールは控えめに

(3)医療的アプローチ

  • 血液検査でホルモン値と生活習慣病リスクを確認
  • 必要に応じて テストステロン補充療法(TRT) を検討
  • 内臓脂肪減少が性機能・気分改善にもつながる

6. まとめ

  • 男性更年期の体重増加は、テストステロン低下・筋肉量減少・内臓脂肪の増加 が主因
  • 特徴は「内臓脂肪型肥満」で、健康リスクが非常に高い
  • 運動・睡眠・栄養改善で予防でき、場合によってはホルモン治療も有効