男性更年期における「関節痛」
男性更年期(LOH症候群)における 「関節痛」 について、ホルモン・筋骨格系・加齢要因の視点から詳しく解説します。
1. 男性更年期における「関節痛」とは
- 単なる運動不足や老化による関節痛とは異なり、ホルモンバランスの変化に関連して起こる関節や筋肉周囲の痛み を指します。
- 肩・膝・腰・手指などに「こわばり」「違和感」「鈍痛」が出やすいのが特徴です。
2. 原因のメカニズム
(1)テストステロン低下
- テストステロンは 筋肉量や骨量の維持・炎症の抑制 に関与
- 低下すると筋肉が衰え、関節への負担が増加
- 炎症性サイトカインのバランスが崩れ、慢性的な関節の違和感・痛みを引き起こす
(2)骨密度の低下
- 男性でもテストステロン低下により 骨量が減少 → 骨粗鬆症や関節周囲の脆弱性 が進行
- 結果として腰痛や関節痛が起こりやすくなる
(3)筋力低下
- 筋肉は関節を支える「クッション」的役割を持つ
- 筋力が落ちると関節に直接負荷がかかり、慢性痛に
(4)生活習慣・加齢
- 運動不足 → 関節の可動域低下・筋肉硬化
- 体重増加 → 膝や腰の関節負担増大
3. 症状の特徴
- 関節のこわばり感(特に朝方や長時間同じ姿勢の後)
- 肩・首・腰・膝・手指に多い
- 「運動すると楽になる」場合もあれば、「動くと痛む」場合もある
- 疼痛は軽度〜中等度だが、慢性化してQOLを下げやすい
4. 他の病気との鑑別
- 変形性関節症(加齢による関節軟骨のすり減り)
- リウマチ(自己免疫疾患)
- 痛風・高尿酸血症
- 男性更年期に伴う関節痛は、これらと重なることもあるため、診断は注意が必要
5. 改善・予防のアプローチ
(1)生活習慣の改善
- 筋力トレーニング(下肢・体幹を中心に → 関節の負担軽減)
- ストレッチ・柔軟体操(血流改善・こわばり解消)
- 適正体重の維持
(2)食事・栄養
- 高タンパク食(筋肉維持)
- カルシウム・ビタミンD・マグネシウム(骨・関節の健康維持)
- 抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸(魚・ナッツ類)
(3)医療的アプローチ
- 血液検査でホルモン・炎症反応を確認
- テストステロン補充療法(必要な場合)
- 痛みが強い場合は整形外科的治療(鎮痛薬・リハビリなど)
6. まとめ
- 男性更年期の関節痛は、テストステロン低下による筋肉・骨・関節の脆弱化 が背景にある
- 「加齢のせい」と片付けられやすいが、ホルモンバランス・生活習慣の改善で予防・改善可能
- 他の疾患(変形性関節症・リウマチ)との鑑別が重要