デュタステリドの「その他の副作用:過敏症」

デュタステリドの「その他の副作用:過敏症(発疹・蕁麻疹・アレルギー反応・瘙痒症・限局性浮腫・血管浮腫)」について、医薬品添付文書の内容に基づき、医学的に分かりやすく詳しく解説します。


【1. 過敏症(Hypersensitivity)とは?】

医薬品に対し、体の免疫が過剰に反応してしまう現象の総称です。

特徴

  • 服薬後、数分〜数日以内に皮膚や粘膜に症状が現れる
  • 多くは軽症だが、まれに重篤(血管浮腫やアナフィラキシー)へ進行することもある
  • 一度起きた場合は、その薬剤は再使用しないのが原則

デュタステリドでも「過敏症」が添付文書に記載されており、多くは軽症の皮膚症状が中心です。


【2. 発疹(Rash)】

皮膚に生じる赤み・隆起・斑点などの総称で、薬剤性皮膚症状の中でも最も一般的。

発疹の特徴

  • 赤い斑点(紅斑)
  • 軽いかゆみを伴うことが多い
  • 多くは軽症で、薬剤中止により数日〜1週間で改善
  • 発熱を伴う発疹は重症薬疹(DRESS、SJS/TEN)の可能性もあるため注意が必要(デュタステリドでは極めてまれ)

【3. 蕁麻疹(Urticaria)】

ミミズ腫れのような膨疹(ぼうしん)が突然出て、数十分〜数時間で消えたり移動したりする皮膚反応。

蕁麻疹の特徴

  • 膨らんだ赤い皮疹(膨疹)
  • 強いかゆみ
  • 数時間以内に消えることが多い
  • 繰り返し出ることがある
  • アレルギー反応の一形態

蕁麻疹が出た場合は、薬剤アレルギーとして服用を中止するのが基本です。


【4. アレルギー反応(Allergic reaction)】

薬剤により引き起こされる免疫反応の総称で、皮膚症状だけでなく全身症状が出ることもあります。

典型的なアレルギー反応

  • 発疹、蕁麻疹
  • かゆみ
  • 喉の違和感
  • 呼吸がしにくい
  • 顔の腫れ
  • 血圧低下(アナフィラキシー)

デュタステリドではほとんどの例が皮膚症状のみで、重症のアナフィラキシーは極めてまれです。


【5. 瘙痒症(Pruritus:かゆみ)】

皮膚にかゆみを生じる症状で、発疹を伴う場合と伴わない場合があります。

特徴

  • 蕁麻疹ほど強くなく、じわじわとしたかゆみ
  • 薬剤中止により数日で改善することが多い
  • 全身に出ることも、局所に出ることもある

【6. 限局性浮腫(Localized edema)】

身体の一部が局所的にむくむ(腫れる)症状。

原因

  • 過敏反応による血管の透過性亢進
  • 一般的に軽度で、頬・瞼・唇などに起こりやすい
  • 押すと跡が残る「圧痕性浮腫」のこともある

通常は軽症ですが、顔に起きた場合は血管浮腫の前兆の可能性があるため注意が必要。


【7. 血管浮腫(Angioedema)】

過敏症の中で重要で、深い層の急激なむくみ(腫れ)が特徴。

起きやすい部位

  • 顔(特に口唇・まぶた)
  • 喉(咽頭・喉頭)

危険性

  • 喉に起きると呼吸困難を引き起こし危険
  • 多くは急速発症(数分〜数時間)
  • 皮膚のかゆみは少ない場合もある

血管浮腫の特徴

  • 皮下組織(皮膚の深い層)のむくみで、触ると柔らかい
  • かゆみよりも「圧迫感」や「重い感じ」が強い
  • 蕁麻疹と併発することもある

何をすべきか?

すぐに服薬を中止し、医療機関を受診
特に、喉の腫れ・呼吸困難・声がかすれる場合は救急レベル。


【まとめ:各症状の違い】

症状 典型的な特徴 危険度
発疹 赤いブツブツ、斑点、軽いかゆみ
蕁麻疹 ミミズ腫れ状、強いかゆみ、数時間で移動
アレルギー反応 発疹〜呼吸困難まで多彩 幅が広い
瘙痒症 かゆみのみ、発疹なしもあり
限局性浮腫 部分的なむくみ(顔など) 中〜高(血管浮腫の前兆のことも)
血管浮腫 深い腫れ、特に唇・舌・喉が危険 高(緊急対応必要)