デュタステリドのその他の副作用:倦怠感、血中クレアチンホスホキナーゼ増加
デュタステリドの「その他の副作用:倦怠感、血中クレアチンホスホキナーゼ(CK)増加」について、医学的な背景を踏まえてわかりやすく解説します。どちらも頻度は高くありませんが、起こる可能性がある生理学的理由があります。
① 倦怠感(けんたいかん)について
■ 症状の意味
「倦怠感」とは、
- 何となく体がだるい
- 活力(エネルギー)が出ない
- 疲れやすい
- 動き始めが重い
などの全身的な疲労感を指す症状です。
病気としての「重篤な全身衰弱」ではなく、多くは軽度・非特異的な疲れです。
■ なぜデュタステリドで倦怠感が起こり得るのか?
デュタステリドは男性ホルモンであるDHTを大幅に低下させます。
このDHTの低下が、間接的に身体のエネルギー感に影響する可能性があります。
① ホルモンバランスによる影響
DHTは筋肉・神経系・モチベーションにも関与しており、
- DHT低下
- テストステロンとの割合変化
により、体が「省エネモード」になることがあります。
=「以前より元気が出ない」と感じることがあります。
② 気分変化が身体感覚に影響
デュタステリドの副作用欄には
- 抑うつ気分
- 不安感
など精神面の症状も記載されます。
気分の低下や自律神経の変化は身体の倦怠感として感じられることが多い特徴があります。
③ 自律神経系の変化
男性ホルモンは交感神経/副交感神経のバランスに関与します。
DHTの低下→自律神経の再調整が起き、
一時的に
- 朝起きにくい
- 活力が少ない
などの症状が出る場合があります。
※3〜6ヶ月で身体が馴染んで改善することが多いです。
④ 個体差
特に、
- 元々男性ホルモンが低めの人
- 低身長・瘦せ型
- 加齢でホルモン低下している人
は、DHT低下の影響を感じやすい傾向があります。
■ 重症性
- 多くは軽度で自然に改善
- 日常生活に支障をきたすレベルは稀
- 長期持続する場合は別の原因(貧血、甲状腺、肝機能など)も鑑別必要
② 血中クレアチンホスホキナーゼ(CK)増加について
■ CKとは?
クレアチンキナーゼ(CK)は、
- 筋肉
- 心筋
- 脳
などに含まれる酵素です。
筋細胞が壊れた時に血液中へ漏れ出すため、筋肉ダメージのマーカーとして使用します。
一般的に、
- 激しい運動
- 肉体疲労
- 筋挫傷
でも上昇します。
■ なぜ「CK上昇」が副作用に載っているのか?
① ホルモン変化と筋代謝
DHTは筋肉の代謝に影響します。
DHTを強く抑制すると、
- 筋肉合成(水分保持)
- 筋線維の維持
などに軽微な変化が起こる可能性があります。
その調整期間に筋細胞の代謝が変化し、軽度のCK上昇が起こることがあります。
これは「筋肉が壊れる病気」というより、代謝の変化に近いです。
② 自然変動の可能性
臨床データ上、
- 軽度のCK上昇が一時的に起きる
- 症状を伴わず自然に戻る
というパターンが多いです。
つまり、
CK上昇=危険、ではなく
CKが「正常上限を少し超える程度」が観察される
という意味で添付文書に載っています。
③ 運動との関連
デュタステリド服用中は筋運動でCKが上がりやすい可能性があります。
例:
- トレーニング
- マラソン
- 筋肉痛
でもCKは上昇します。
薬によるものか、運動によるものかを判別する必要があります。
■ 臨床的な取り扱い
- 症状がなければ、経過観察
- 倦怠感+強い筋肉痛+CK大幅上昇 → 筋障害の鑑別必要
ただし、デュタステリド単独で重篤な筋障害(横紋筋融解症など)を起こした報告はほぼありません。
■ 「倦怠感」と「CK上昇」の関係性
この2つは一見別の副作用ですが、
「筋肉代謝」「ホルモン」「自律神経」の変化が共通点となります。
- DHT低下 → エネルギー感が低下 → 倦怠感
- DHT低下 → 筋代謝の再調整 → CK軽度上昇
という流れで説明できます。
つまり「全身のホルモン調整に伴う一過性の変化」と捉えるのが合理的です。
■ いつ医療機関に相談すべきか?
以下のケースは相談してください:
● 倦怠感
- 2〜3ヶ月以上持続する
- 日常生活に障害がある
- 抑うつ気分など精神症状を伴う
- 動悸、めまい、息切れなど他の症状がある
→ 血液検査(貧血、甲状腺、肝機能)
● CK増加
- 筋肉痛が強い
- 尿が濃い茶色になる(ミオグロビン尿)
- 脱水症状
- 発熱、全身痛
→ 横紋筋融解症の鑑別が必要(非常に稀)
■ フィナステリドとの違い
デュタステリドは「5α還元酵素のⅠ型・Ⅱ型両方」を阻害するため、DHT抑制がより強力です。
そのため、
- ホルモン変化による全身症状が出る人がごく少数存在します
(倦怠感、気分変化、CK変動など)
フィナステリドはⅡ型のみ阻害なので、全身症状はさらに少ない傾向があります。
■ まとめ(ポイントだけ)
● 倦怠感
- 「体がだるい」という全身的疲労感
- DHT低下や自律神経変化による一過性症状
- 多くは軽度で自然に改善
● CK増加
- 筋肉酵素の軽度上昇
- 筋代謝の変化や運動に影響される
- 症状がない場合は経過観察でOK
● 重篤例は非常に稀
- 筋障害(横紋筋融解症)など重大例はほぼ報告なし
- 危険というより「注意として記載」





