cGMPとは

ED治療薬バイアグラなど)のしくみを理解する上で、「cGMP(サイクリックGMP)」は中心的な役割を担っています。


cGMPとは?

cGMP(サイクリックGMP) とは、体の中で「血管を広げる信号」として働く物質です。正式名称はcyclic guanosine monophosphate(サイクリック グアノシン モノリン酸)。「サイクリック(環状)」という名前の通り、化学的には輪っか状の構造を持つ分子です。


 cGMPの役割

一言でいうと:血管の筋肉をゆるめて、血流を増やすというのがcGMPの主な仕事です。


どうやって作られるの?

cGMPは、次のような流れで作られます

  1. 性的刺激を受ける
  2. 神経から「一酸化窒素(NO)」が放出される
  3. NOが「グアニル酸シクラーゼ」という酵素を活性化
  4. その酵素が「GTP(グアノシン三リン酸)」をcGMPに変換する
  5. cGMPが「血管をゆるめる」信号を出す
  6. 血流が増え、勃起が起こる

まとめると:

性的刺激 → NO → cGMP ↑ → 血管拡張 → 勃起

cGMPがどこに働くのか?

主に血管の平滑筋細胞(へいかつきんさいぼう)に作用します。この細胞がゆるむことで、血管の内径が広がります。cGMPは細胞内で「タンパク質キナーゼG(PKG)」という酵素を活性化し、カルシウム(Ca²⁺)濃度を下げることで筋肉をゆるませます。


cGMPはどうやって消えるの?

勃起がずっと続くわけではありません。その理由が「PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)」です。PDE5はcGMPを分解して、もとの「GMP」に戻します。これにより血管が再び締まり、勃起が収まります。

つまり:

状態 cGMP PDE5
勃起中 多い 抑えられている
勃起終了 少ない 活性化される

PDE5阻害薬の働き

ED治療薬(例:バイアグラシルデナフィル)は、この PDE5の働きを止める ことで、cGMPの量を維持し、血管の拡張状態を長く保ちます。

つまり:

PDE5阻害薬 → PDE5が止まる → cGMPが分解されない → 血流が続く

まとめ

項目 内容
名称 cGMP(サイクリックGMP)
物質の正体 GTPから作られる環状ヌクレオチド
主な働き 血管をゆるめて血流を増やす
作る酵素 グアニル酸シクラーゼ(NOで活性化)
分解する酵素 PDE5(ホスホジエステラーゼ5型)
PDE5阻害薬の効果 cGMPを分解させず、勃起を助ける

つまり、

NOは「スイッチを入れる役」、cGMPは「血流を増やす信号の本体」、PDE5は「スイッチを切る役」という関係です。