ED治療における注射療法とは？

陰茎海綿体注射（ICI: Intracavernosal Injection）

陰茎海綿体注射（ICI）は、陰茎の海綿体に血管を拡張させる薬剤を直接注射することで、勃起を引き起こします。これは、性的刺激に関係なく勃起が引き起こされます。ED治療薬（バイアグラなど）がじゅうぶん効かない方、また、心臓病などでこれらのED治療薬が使えない方に対して施される治療法です。

陰茎海綿体注射で使われる薬剤

・プロスタグランジンE1（PGE1、アルプロスタジル）

→安全性と効果が高いとされ、日本や米国でもひろく使われる

・パパベリン

→陰茎線維化のリスクから近年は単独では使われなくなった

・フェントラミン

→単独では効果がうすく、ほかの薬剤と併用されることが多い

いずれも陰茎の血管を拡張し、血流を促進することで勃起を促します。これらの薬剤は単独で使用されることもありますが、組み合わせて（カクテル療法）使用されることもあります。

注射の効果

注射後、数分から十数分で勃起が起こり、効果は1時間前後持続します。この勃起は、性的（精神的、物理的）な刺激と関係なくおこるものです。

メリットとデメリット

・メリット

ED治療薬（バイアグラなど）が効かない重度なED患者、またED治療薬が使えない患者にも有効。効果が早く確実に得られる。

・デメリット

注射に対しての抵抗感がある。性的刺激から起こる勃起ではないため、自然でないと違和感を持つことがある。

副作用とリスク

・勃起が4時間以上続く持続勃起症（プリアピズム）

→ごく稀に発生する緊急事態で、すぐに治療を求める必要があります。治療が遅れると勃起そのものの機能が失われるおそれがあります。

・組織の線維化

・注射部位からの出血や感染

どんな人に向いているか

陰茎海綿体注射（ICI）は、ED治療薬がどうしても効かない場合や、特定の健康状態のためにED治療薬が禁忌とされている人にとって、その効果や成功率をみても非常に有効な治療法です。このような健康条件にあてはまらない方は、バイアグラなどの服薬で対処することが一般的です。