糖尿病とEDの関係

糖尿病(特に2型糖尿病)は、勃起不全(ED:Erectile Dysfunction)の大きなリスク要因の一つです。糖尿病患者は、非糖尿病の男性と比べてEDを発症するリスクが3倍高いとされています。これは、高血糖が血管・神経・ホルモンに悪影響を及ぼし、勃起機能を低下させるためです。


1. 勃起のメカニズム

勃起は、以下の3つの要素が正常に機能することで起こります。

  1. 血管の拡張(ペニスへの血流が増加)
  2. 神経の伝達(脳・脊髄からペニスへ信号を送る)
  3. ホルモンの作用(テストステロンが関与)

糖尿病による血管障害や神経障害が、このプロセスを妨げ、EDを引き起こします。


2. 糖尿病がEDを引き起こすメカニズム

 ① 血管障害(動脈硬化)

  • 高血糖が続くと血管が硬くなり(動脈硬化)、血流が悪化します。
  • 勃起には血液がペニスに十分流れ込む必要があるため、血管障害があると勃起しにくくなります。
  • 心血管疾患(高血圧、心筋梗塞)を合併しやすく、EDが悪化するリスクも高まる

 ② 神経障害(糖尿病性神経障害)

  • 高血糖は神経を損傷し、脳からの勃起指令がペニスに届きにくくなります。
  • 特に、自律神経(勃起を調節する神経)に影響を与え、性的刺激を感じても勃起しづらくなる

 ③ ホルモンバランスの乱れ

  • 糖尿病はテストステロン(男性ホルモン)を低下させることがあり、性欲(リビドー)の低下につながる。
  • インスリン抵抗性があると、ホルモンバランスが崩れやすい。

 ④ 精神的要因(ストレス・うつ)

  • 糖尿病による疲労感、ストレス、自己肯定感の低下がEDを悪化させることがある。
  • 「勃起しないかもしれない」という不安が悪循環を生み、心理的EDにつながる。

3. 糖尿病性EDの特徴

糖尿病によるEDは、進行が早く、症状が重くなりやすいという特徴があります。

糖尿病性ED 一般的なED
血管・神経障害が原因 加齢、ストレス、生活習慣などが原因
自然な朝勃ちが減少 精神的EDの場合、朝勃ちは保たれることが多い
ED治療薬(バイアグラなど)が効きにくいことがある ED治療薬が効果を発揮しやすい
進行が早く、重症化しやすい 比較的ゆっくり進行する

4. 糖尿病によるEDの予防・改善方法

 ① 血糖コントロールを徹底する

  • HbA1c(過去1~2ヶ月の血糖値の指標)を7.0%以下に保つことを目標にする。
  • 血糖値の急上昇を避けるため、低GI食品を取り入れる

 ② 生活習慣の改善

  • 適度な運動(ウォーキング、筋トレ) → 血流改善&テストステロン増加
  • 禁煙・節酒 → 喫煙は血管を収縮させ、EDを悪化させる
  • ストレス管理・睡眠改善 → 睡眠不足はホルモンバランスを崩す

 ③ ED治療薬(バイアグラ、シアリスなど)の活用

  • 糖尿病患者でも使用可能だが、効果が弱まることがある。
  • 心血管疾患(狭心症・心筋梗塞)を持つ場合は使用注意(医師と相談)。

 ④ テストステロン補充療法(TRT)

  • 男性ホルモンが低下している場合は、ホルモン補充療法が選択肢になる。
  • ただし、前立腺がんのリスクも考慮し、慎重に検討。

 ⑤ 血管拡張治療(カテーテル手術など)

  • 重度の動脈硬化がある場合、ペニスの血流を改善する外科的治療が行われることもある。

5. まとめ

✔ 糖尿病はEDの主要な原因の一つで、血管障害・神経障害・ホルモンバランスの乱れが影響する。
糖尿病性EDは進行が早く、重症化しやすいため、早期の対策が重要。
血糖コントロール・生活習慣の改善がED予防・改善の基本
ED治療薬が効きにくいことがあるため、医師と相談しながら適切な治療を選ぶ

糖尿病とEDは、生活習慣を見直すことで改善できるケースが多いため、まずは日々の習慣を整えることが大切です。

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