カルシトニンとは
カルシトニンは、甲状腺の傍濾胞細胞（C細胞）から分泌されるホルモンで、体内のカルシウム代謝に重要な役割を果たします。以下に、カルシトニンの詳細について解説します。
1. 構造と性質
- 化学構造: カルシトニンはペプチドホルモンで、主に32アミノ酸から構成されています。アミノ酸配列は動物種によって異なりますが、ヒトのカルシトニンはヒトに特有の構造を持ちます。
- 親水性: ペプチドホルモンであるため、水溶性であり、血液中を自由に流れています。
2. 分泌と調節
- 甲状腺からの分泌: カルシトニンは甲状腺のC細胞から合成・分泌されます。カルシウム濃度が上昇すると、カルシトニンの分泌が促進されます。
- フィードバック機構: 血中のカルシウム濃度が高まると、カルシトニンの分泌が増加し、逆にカルシウム濃度が低下するとその分泌が抑制されます。
3. 体内での役割
- カルシウムの調節: カルシトニンは主に骨、腎臓、腸に作用し、血中のカルシウム濃度を低下させる役割があります。
- 骨に対する作用: 骨におけるカルシウムの放出を抑制し、骨の再吸収を減少させます。これにより、骨密度が維持されます。
- 腎臓に対する作用: 腎臓においてカルシウムの再吸収を促進し、尿中へのカルシウム排泄を減少させます。
- 腸に対する作用: 腸からのカルシウム吸収を抑制する働きがあります。
4. 健康への影響
- カルシウム過剰症: 血中のカルシウム濃度が過剰になると、カルシトニンの分泌が増加します。過剰なカルシウムは、腎結石や骨の健康に悪影響を与えることがあります。
- 甲状腺疾患: カルシトニンの異常は、特定の甲状腺疾患（例：甲状腺癌、メニエール病など）に関連していることがあります。カルシトニンの高値は、特定の甲状腺癌のバイオマーカーとして用いられることがあります。
5. 診断と検査
- 血液検査: カルシトニンの濃度を測定することで、甲状腺の状態やカルシウム代謝の異常を評価します。特に、甲状腺癌の診断や治療効果のモニタリングに使用されることがあります。
まとめ
カルシトニンは、体内のカルシウム代謝を調節する重要なホルモンです。骨の健康やカルシウムのバランスを維持するために欠かせないものであり、その異常は健康に影響を与えることがあります。カルシトニンの正常な働きを保つためには、適切な食事や生活習慣、定期的な健康診断が重要です。
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