サイロキシン(T4)とは
サイロキシン(T4)は、甲状腺から分泌される主要な甲状腺ホルモンの一つで、体内の代謝や成長に重要な役割を果たしています。
1. 構造と性質
- 化学構造: サイロキシンは、4つのヨウ素原子を含むテトラヨードサイロニン(T4)という名前の通り、ヨウ素原子が4つ結合した化合物です。
- 親水性: サイロキシンは、脂溶性のホルモンであり、細胞膜を通過して細胞内に作用することができます。
2. 分泌と調節
- 甲状腺からの分泌: サイロキシンは、甲状腺の濾胞細胞から合成され、血液中に分泌されます。
- TSHによる調節: 甲状腺刺激ホルモン(TSH)が下垂体から分泌され、甲状腺に作用してT4の合成と分泌を促進します。T4のレベルが高まると、TSHの分泌が抑制されるフィードバック機構があります。
3. 体内での役割
- 代謝の調節: サイロキシンは、基礎代謝率を上昇させ、エネルギーの生成や消費を促進します。特に、糖質、脂質、タンパク質の代謝に重要です。
- 成長と発達: 子供や青少年の成長、特に骨や脳の発達に不可欠です。正常なサイロキシンのレベルは、健康な成長をサポートします。
- 神経系への影響: サイロキシンは、神経系の発達や機能にも関与しており、脳の働きをサポートします。
4. 体内での変換
- T4からT3への変換: サイロキシン(T4)は、体内でトリヨードサイロニン(T3)に変換されます。T3は、T4よりも生理活性が高く、代謝をより強く調節します。主に肝臓や腎臓で行われます。
5. 健康への影響
- 甲状腺機能低下症: T4の分泌が不足すると、代謝が低下し、体重増加、疲労感、寒がり、抑うつ症状などが現れます。治療には、合成サイロキシン(レボチロキシン)を補充することが一般的です。
- 甲状腺機能亢進症: T4の過剰分泌は、代謝を亢進させ、体重減少、動悸、不安感などの症状を引き起こします。治療には、抗甲状腺薬や放射線治療、手術などがあります。
6. 診断と検査
- 血液検査: サイロキシン(T4)の濃度を測定することで、甲状腺機能の状態を評価します。TSHとT3の値も合わせて確認することが一般的です。
まとめ
サイロキシン(T4)は、体内の代謝や成長に重要な役割を果たすホルモンであり、その正常なバランスが健康にとって不可欠です。甲状腺の健康を維持するためには、適切な食事や生活習慣、定期的な健康診断が重要です。
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