HPVとは

HPV(ヒトパピローマウイルス:Human Papillomavirus)とは、ヒトに感染するパピローマウイルスの総称で、200種類以上の型が存在する非常に一般的なウイルスです。


◆ HPVのポイント

1. 主な感染経路

  • 性行為(膣、肛門、口腔いずれも)
  • 皮膚・粘膜の接触
  • ごくまれに母子感染(産道)

性行為の経験がある人の 約80%が一度は感染する と言われるほど一般的です。


◆ HPVの種類とリスク分類

① 低リスク型(主に良性病変)

  • 代表例:6型、11型
  • 主な病気:尖圭コンジローマ(性器にイボ)

② 高リスク型(がんを引き起こす可能性)

  • 代表例:16型、18型 → 子宮頸がんの約70%を占める
  • 関連がん:
    • 子宮頸がん
    • 肛門がん
    • 咽頭がん(オーラル経由)
    • 陰茎がん
    • 膣がん・外陰がん

◆ HPV感染後の流れ

ほとんどの場合:

  • 免疫によって1〜2年で自然消失
  • 自覚症状なし

問題となるケース:

  • 感染が長期持続(特に高リスク型)
  • 子宮頸部の細胞に異常 → 前がん病変〜子宮頸がん へ進展することがある

◆ 予防:HPVワクチンが非常に有効

現在日本で使用される主なワクチン

  • 4価ワクチン(ガーダシル):6・11・16・18型
  • 9価ワクチン(シルガード9):6・11・16・18型に加えて5種類(31・33・45・52・58)
    子宮頸がんの90%以上をカバー

男女ともに接種推奨。
特に性交経験前の接種が最も効果的。


◆ 男性にとってのHPVの意味

・尖圭コンジローマ
・肛門がん
・中咽頭がん
などのリスクとなるため、男性のワクチン接種も世界的に推奨されています。


◆ 要点

  • HPVは非常に一般的なウイルス
  • 多くは自然治癒、ただし高リスク型はがんの原因に
  • ワクチンで主要型をほぼ予防可能
  • 女性だけではなく男性にも重要なウイルス