ナトリウム利尿ペプチドとは

ナトリウム利尿ペプチド(NP) は、心臓などで作られる ホルモン(ペプチドホルモン)で、体の 水分と塩分(ナトリウム)のバランスを調整 する働きを持っています。

  • 「ナトリウム利尿ペプチド」の名前の通り、尿中にナトリウムを出す(利尿) 作用があります。
  • 主に血圧を下げる役割もあります。

主な種類

種類 作られる場所 主な役割
ANP(Atrial NP) 心房 血圧を下げる、利尿促進
BNP(B-type NP) 心室 心不全のマーカー、利尿・血管拡張
CNP(C-type NP) 血管内皮など 血管拡張、局所の血流調整

作用のしくみ

  1. 血液量や血圧が上がる
    → 心臓の壁が伸びる(心房や心室の伸展)
  2. ANPやBNPが血液中に放出される
  3. 腎臓に働きかける
    - 尿中にナトリウムを排泄
    - 水も一緒に排泄 → 血液量を減らす
  4. 血管に働きかける
    - 血管平滑筋をゆるめる → 血圧を下げる
  5. 膜結合型GC(mGC)を介してcGMPを作る
    - cGMPが平滑筋を弛緩 → 血圧降下、心臓保護

ポイント

  • ナトリウム利尿ペプチドは 心臓が作る自然の降圧・利尿ホルモン
  • ANP・BNP・CNPの3種類があり、それぞれ作用場所が少し異なる
  • cGMPを介して血管を広げたり、利尿作用を発揮したりする
  • 心不全の診断には BNP値 が重要なマーカーとして使われます