壮年性脱毛症とは

ミノキシジルの説明書に記載されている壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょう)について、医学的な定義をわかりやすくまとめます。


■ 壮年性脱毛症とは?

中年期以降に発症する代表的な脱毛症で、一般的に「男性型脱毛症(AGA)」「女性型脱毛症(FPHL)」を指す医学用語です。
添付文書などの医薬品説明書では、「AGA」という英語より、より広く医学的な範囲を含める意味で「壮年性脱毛症」という言葉が使われています。


1. 壮年性脱毛症の特徴

● 男性の場合(AGA)

  • 思春期以降〜壮年期(20〜50代)に発症
  • 前頭部の後退(M字)、頭頂部の薄毛、またはその両方
  • ゆっくり数年〜数十年かけて進行
  • 痛みや炎症は伴わない
  • 髪が細くなり、抜け毛が増える

● 女性の場合(FPHL:女性型脱毛症)

  • 全体にびまん性に薄くなる(特に頭頂部)
  • 生え際は比較的保たれる
  • 更年期前後に多い

2. 原因

● 主原因は「男性ホルモン(DHT)と遺伝」

  • 毛乳頭細胞がDHTの作用に敏感だと、毛周期が短縮され、髪が細く短くなる
  • 家族歴(遺伝)が大きく関与

● その他の因子

  • 加齢(毛包の自然な萎縮)
  • 生活習慣
  • ストレス
    などが進行を早めることがあります。

3. 壮年性脱毛症であるかを判断するポイント

観点 典型例
発症時期 思春期以降〜中年期
脱毛スピード ゆっくり進行(数年)
抜け方 前頭部・頭頂部中心/女性はびまん性
痛み・炎症 なし
斑状脱毛 なし(これがある場合は別の疾患)

4. 他の脱毛症との違い

脱毛症 特徴 壮年性脱毛症との違い
円形脱毛症 円形に突然抜ける 急激で局所的
休止期脱毛症 ストレスなどで急に大量脱毛 進行スピードが全く異なる
薬剤性脱毛 薬が原因 AGAとは無関係
甲状腺・自己免疫疾患 全体が急に薄くなる 内科疾患が原因

5. ミノキシジルが適応されるのは壮年性脱毛症

説明書の「効能・効果」には、以下と明記されています:

  • 壮年性脱毛症(男性/女性)における発毛・育毛・脱毛進行予防

逆にいうと、急性の脱毛、斑状脱毛、原因不明の全頭脱毛などは適応外です。