男性型脱毛症

男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)は、男性に多く見られる進行性の脱毛症です。主に前頭部の生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなり、進行すると頭部の広範囲にわたる脱毛が起こります。原因は、遺伝や男性ホルモンの影響が大きく関与しており、加齢とともに進行することが特徴です。

AGAの症状と進行パターン

AGAの進行には個人差がありますが、典型的には以下のような段階をたどります:

1. M型脱毛

• 生え際の両側(前頭部の左右)が後退する。

• 額が広がるように見え、M字型の後退が特徴。

2. O型脱毛

• 頭頂部(つむじ周辺)が薄くなる。

• 頭皮が透けて見えるようになり、徐々に範囲が広がる。

3. U型脱毛

• 生え際と頭頂部の脱毛が進行し、頭部の中央部分がほとんど毛のない状態になる。

• 側頭部や後頭部の髪は残ることが多い。

進行の程度(ハミルトン・ノーウッド分類)

• AGAの進行度を示す分類で、I型(軽度)からVII型(重度)まで段階的に評価されます。

• I~II型:生え際が少し後退するが、ほとんど目立たない。

• III~IV型:前頭部と頭頂部の毛が薄くなり、進行が目に見えてわかる。

• V~VII型:頭頂部から生え際にかけて脱毛が進行し、側頭部や後頭部の毛のみが残る。

AGAの原因

1. 男性ホルモン(DHT)の影響

• テストステロン(男性ホルモン)が5αリダクターゼ酵素によって**ジヒドロテストステロン(DHT)**に変換され、毛母細胞の成長を抑制します。

• DHTの影響で、毛の成長サイクルが短縮され、太く長い毛が生えなくなります。

2. 遺伝的要因

• AGAの発症には遺伝が関与しており、父親や母親の家系に薄毛の人がいる場合、発症リスクが高まります。

3. 加齢

• 加齢により毛周期が乱れ、毛が徐々に細く短くなります。

4. 生活習慣の影響

• 睡眠不足、ストレス、栄養不足なども薄毛を悪化させる要因です。

診断方法

• 視診・触診:脱毛のパターンや頭皮の状態を確認します。

• トリコグラム検査:毛髪を採取して、毛周期の状態を調べます。

• 血液検査:ホルモンバランスや栄養状態を確認するために行います。

AGAの治療法

1. 薬物治療

• フィナステリド:5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑える飲み薬。

• 毎日服用することで脱毛の進行を抑制。

• 副作用:性欲減退や勃起不全が報告されることがあります。

• デュタステリド:フィナステリドよりも強力にDHTを抑える作用があります。

• ミノキシジル:血管拡張剤として開発され、外用薬として使用されます。

• 毛母細胞の活性化と発毛促進に効果がある。

• 副作用:頭皮のかゆみや炎症が起こることも。

2. 植毛

• 自分の後頭部や側頭部の毛を移植する外科的治療。

• 定着率が高く、自然な仕上がりが期待できますが、費用が高額です。

3. LED・低出力レーザー治療

• 頭皮に低出力のレーザーを照射し、血行促進や発毛を促進します。

4. 生活習慣の改善

• バランスの良い食生活や睡眠の改善が薄毛の進行抑制に効果的です。

5. 育毛シャンプー・頭皮ケア

• AGAの進行を抑えるために、頭皮環境を整えるシャンプーやマッサージが推奨されます。

予防とセルフケア

1. ストレス管理:ヨガや運動などでリラクゼーションを心がけましょう。

2. 栄養バランスの取れた食事:亜鉛やビタミンB群、タンパク質を積極的に摂取します。

3. 禁煙・節酒:血行不良を防ぐために、喫煙や過度の飲酒は控えます。

4. 頭皮の清潔を保つ:頭皮の皮脂汚れを取り除き、健康な環境を維持します。

AGAの治療のポイント

• 早期治療が重要:AGAは進行性であり、放置すると治療が難しくなるため、早期の対応が推奨されます。

• 継続が大切:薬物治療は効果が出るまでに数か月かかるため、根気よく続けることが重要です。

• 医師との相談:副作用や効果の違いがあるため、自分に合った治療法を専門医と相談しながら決めましょう。

まとめ

男性型脱毛症は遺伝や男性ホルモンの影響で起こる進行性の脱毛症ですが、早期に適切な治療を行えば進行を遅らせたり、発毛を促すことが可能です。フィナステリドやミノキシジルなどの薬物治療に加え、生活習慣の改善も効果的な対策となります。気になる症状がある場合は、早めに皮膚科やAGA専門クリニックを受診することをお勧めします。

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