円形脱毛症

円形脱毛症は、急に頭髪や体毛の一部が円形または楕円形に抜け落ちる自己免疫疾患の一種です。一般的に痛みやかゆみはなく、症状が突然現れることが多いのが特徴です。多くの場合、頭皮に発症しますが、眉毛、まつ毛、ヒゲ、体毛にも影響を及ぼします。

円形脱毛症の特徴と症状

1. 単発型

• 1つまたは数か所の円形の脱毛が見られる。

• 最も一般的なタイプで、多くの場合、自然に治癒します。

2. 多発型

• 複数の円形脱毛が発生し、広範囲にわたる。

• 再発することが多く、治療が長引くこともあります。

3. 全頭型

• 頭部全体の髪が抜ける状態。

• 再発のリスクが高く、治療も難しいことがあります。

4. 汎発型(全身型)

• 頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、ヒゲ、体毛まですべて脱落します。

• 重度の円形脱毛症で、治療が長期化することが多いです。

円形脱毛症の原因

1. 自己免疫異常

• 本来、体を守る免疫システムが誤って毛根を攻撃し、脱毛が起こると考えられています。

2. 遺伝的要因

• 家族に円形脱毛症の経験者がいると、発症リスクが高まることが知られています。

3. ストレス

• 精神的なストレスが免疫バランスを乱し、発症を誘発することがあるとされています。

4. アレルギーや自己免疫疾患との関連

• アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患と関連するケースが多いです。

5. 環境要因

• 季節の変わり目や生活環境の変化が引き金になることもあります。

診断方法

• 視診:頭皮や体毛の脱毛箇所を目視で確認。特徴的な円形脱毛が診断の手がかりになります。

• トリコスコピー:拡大鏡を使って毛根の状態を確認します。

• 血液検査:甲状腺機能や自己免疫疾患の有無を調べるために行われます。

治療法

1. 局所ステロイド

• 脱毛部分に直接ステロイドを塗布し、免疫反応を抑える治療。

2. ステロイド注射

• 小さな脱毛箇所に対し、直接ステロイドを注射します。

3. 内服薬

• 広範囲の円形脱毛症には、免疫抑制剤やステロイドの内服が用いられることがあります。

4. ミノキシジル

• 発毛を促進するために使用される外用薬です。

5. 局所免疫療法(SADBE・DPCP)

• 敏感な化学物質を塗布し、軽いアレルギー反応を誘発することで免疫バランスを改善します。

6. PUVA療法

• 紫外線と感作剤を組み合わせて行う治療法。難治性の円形脱毛症に使用されます。

7. 心理的ケア

• ストレス管理のためにカウンセリングやメンタルサポートが推奨されることもあります。

生活習慣の見直しとセルフケア

• 栄養バランスの改善:亜鉛や鉄分を意識した食生活が推奨されます。

• ストレス管理:趣味や運動を取り入れ、リラクゼーションを心がけましょう。

• 頭皮ケア:シャンプー選びや頭皮の清潔を保つことも大切です。

予後と注意点

• 自然回復の可能性:特に単発型は、治療をしなくても数か月~1年以内に自然回復することが多いです。

• 再発のリスク:多発型や重度のケースでは再発しやすく、長期的な経過観察が必要です。

• 早期治療の重要性:症状が軽いうちに治療を開始することで、回復が早まることがあります。

まとめ

円形脱毛症は、自己免疫やストレスが関与する複雑な疾患ですが、適切な治療を行えば多くのケースで回復が期待できます。症状が見られた場合は、早めに皮膚科を受診し、医師の指導のもと治療を受けることが大切です。

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