シアリスと併用禁忌の硝酸イソソルビドについて
シアリス(タダラフィル)と併用禁忌の硝酸イソソルビド(isosorbide dinitrate / isosorbide mononitrate)について、作用・危険性・臨床上の注意点を整理して解説します。
硝酸イソソルビドとは
- 有機硝酸塩(nitrate系)薬の一つで、狭心症(angina pectoris)の予防・治療に用いられます。
- 内服薬として長時間作用型(持続放出錠)と短時間型があり、血管拡張作用により心臓への負荷を軽減します。
作用機序
- 硝酸イソソルビドは体内で一酸化窒素(NO)を生成。
- NOが血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼを活性化 → cGMP(環状グアノシン一リン酸)増加。
- cGMPの増加により血管平滑筋が弛緩 → 血管拡張。
- 冠動脈拡張 → 心筋酸素供給改善
- 静脈拡張 → 心臓への静脈還流減少 → 心拍出量の負荷軽減
ニトログリセリンと同じく、cGMP経路による血圧低下作用があります。
シアリス(タダラフィル)との相互作用
- シアリスはPDE5阻害薬で、cGMPを分解せず保持する作用があります。
- 硝酸イソソルビドでcGMPが増える → シアリスで分解が抑制 → cGMP過剰。
- その結果、重度の低血圧・めまい・失神・心血管ショックを起こすリスクが極めて高いため、併用は禁忌です。
臨床上の注意
- 併用は絶対に避けること(添付文書で禁忌)。
- 長時間作用型(持続放出錠)も同様で、シアリス服用中は血中濃度が残っている間、低血圧リスクが持続します。
- 緊急時の狭心症発作でも、シアリス服用済みなら硝酸薬の投与は医師の厳重な監視下で行う必要があります。
まとめ
- 硝酸イソソルビドはcGMPを増やす有機硝酸薬。
- シアリスと併用すると危険な低血圧・心血管ショックのリスクがあるため絶対禁忌。
- シアリス服用中は、狭心症の治療薬としての硝酸薬も含めて、医師に必ず相談することが必須。
ポイント
- ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビドはいずれも有機硝酸塩で、作用は同じ経路(NO → cGMP → 血管拡張)なので、シアリスとの併用は全て危険です。
- 違いは投与形態と作用時間(即効・持続など)ですが、リスクの本質は同じです。

