セントジョーンズワートとフィナステリドは併用できる?AGA治療への影響を解説

渋谷ウエストクリニック

セントジョーンズワートとフィナステリドは併用できる?AGA治療への影響を解説

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セントジョーンズワートとフィナステリド

セントジョーンズワートとフィナステリドは併用できる?AGA治療への影響を解説

セントジョーンズワートは、気分の落ち込みなどを目的としたサプリメントや健康食品に配合されるハーブです。しかし、薬を分解する酵素の働きを強め、多くの医薬品の血中濃度を低下させることが知られています。

AGA治療薬のフィナステリドも影響を受ける可能性があります。結論からいうと、国内の電子添文上の「併用禁忌」ではありませんが、フィナステリドの効果が弱まる可能性があるため、自己判断での併用は避けるのが無難です。

結論:併用は原則として避け、処方医に確認する

セントジョーンズワートとフィナステリドを併用した場合に心配されるのは、重い副作用が直ちに発生することよりも、フィナステリドの血中濃度が低下し、AGAの進行を抑える効果が弱まることです。

英国NHSも、セントジョーンズワートについて「フィナステリドが本来どおり働かなくなる可能性がある」と注意喚起しています。NHS:フィナステリドとハーブ・サプリメント

確認事項 現時点での判断
国内で併用禁忌か 併用禁忌とは記載されていない
相互作用はあるか フィナステリドの血中濃度を下げる可能性がある
AGA治療効果への影響 弱まる可能性はあるが、脱毛への影響を直接調べた試験はない
服用時間をずらせばよいか 時間をずらしても相互作用は回避できない
推奨される対応 自己判断で併用せず、医師または薬剤師に相談する

セントジョーンズワートとは

セントジョーンズワートは、和名を「セイヨウオトギリソウ」、学名を「Hypericum perforatum」といいます。

健康食品やサプリメントでは、次のような名称で表示されることがあります。

  • セントジョーンズワート
  • セイヨウオトギリソウ
  • St. John’s Wort
  • Hypericum perforatum
  • ヒペリクムエキス
  • セイヨウオトギリソウ抽出物

厚生労働省は、セントジョーンズワートが薬物代謝酵素、特にCYP3A4などを誘導し、医薬品の効果を弱める可能性があるとして注意を呼びかけています。厚生労働省:セントジョーンズワートと医薬品の相互作用

フィナステリドの効果が弱まる仕組み

フィナステリドは、5α還元酵素Ⅱ型を阻害し、テストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)がつくられるのを抑える薬です。DHTの作用を抑えることで、男性型脱毛症の進行を遅らせます。

体内に入ったフィナステリドの代謝には、肝臓などに存在するCYP3A4という酵素が関与します。PMDA:フィナステリド錠電子添文

一方、セントジョーンズワートはCYP3A4の量や働きを強めます。FDAは、製品によって差があるものの、セントジョーンズワートをCYP3Aの強力な誘導物質として分類しています。FDA:CYP酵素に影響する薬物・成分

その結果、次のような相互作用が起こる可能性があります。

セントジョーンズワートを摂取
→ CYP3A4の働きが強くなる
→ フィナステリドの代謝が速くなる
→ 血中濃度が低下する
→ AGA治療効果が弱まる可能性がある

セントジョーンズワートがDHTを直接増やすのではなく、フィナステリドが通常より速く処理されることが問題です。

フィナステリドの血中濃度低下はヒト試験で確認されている

健康な男性12人を対象とした薬物動態試験では、セントジョーンズワートを1回300mg、1日2回、14日間摂取した前後で、フィナステリド5mgの体内動態が比較されました。

セントジョーンズワート摂取後には、次の変化が確認されています。

  • 最高血中濃度(Cmax):約58%低下
  • 24時間の薬物曝露量(AUC):約34%低下
  • 消失半減期:約46%短縮

研究者は、セントジョーンズワートがフィナステリドの代謝を誘導し、体内での薬物曝露量を低下させたと結論づけています。PubMed:セントジョーンズワートがフィナステリドの薬物動態に及ぼす影響

ただし、この試験はAGAで通常使用する1mgではなく、フィナステリド5mgを腸管内へ投与した小規模な試験です。また、毛髪数や抜け毛の変化を調べた試験でもありません。

したがって、「フィナステリドのAGA治療効果が34%低下する」という意味ではありません。確認されているのは血中濃度の低下であり、実際の発毛・脱毛抑制効果がどの程度変化するかは明らかになっていません。

すべての製品が同じ強さで影響するわけではない

セントジョーンズワートによる酵素誘導の強さは、主に含有成分のハイパーフォリン量、摂取量、使用期間によって異なります。

高ハイパーフォリン製品では相互作用が強く、低ハイパーフォリン製品では影響が小さい可能性があります。しかし、日本で販売されている健康食品ではハイパーフォリン量が表示されていないこともあり、商品名や摂取量だけで影響を正確に判断することは困難です。

「天然成分」「ハーブ」「食品」という表示であっても、薬との相互作用がないとは限りません。

服用時間をずらしても相互作用は防げない

フィナステリドを朝、セントジョーンズワートを夜に飲むなど、服用時間を数時間ずらしても対策にはなりません。

この相互作用は、胃の中で両者が直接反応して起こるものではなく、セントジョーンズワートが数日かけて代謝酵素の量や働きを変化させることで起こります。

欧州医薬品庁の資料では、連日摂取した場合、最大酵素誘導の約90%に達するまで5~9日程度かかり、中止後に酵素活性が通常へ戻るまで約1週間かかるとされています。EMA:セントジョーンズワート評価資料

したがって、同じ日に飲まない、数時間間隔を空けるといった方法では相互作用を回避できません。

一緒に飲んでしまった場合はどうする?

1回または数回一緒に飲んだからといって、フィナステリドの効果が突然なくなったり、急激に脱毛が進んだりするとは考えにくいため、慌てる必要はありません。

次の点を確認し、処方医または薬剤師に伝えてください。

  • セントジョーンズワートを含む商品の名称
  • 1日の摂取量
  • 摂取した期間
  • フィナステリドの用量
  • ほかに服用している薬やサプリメント

フィナステリドを2錠飲むなど、自己判断で増量してはいけません。国内の電子添文でも、増量によってAGA治療効果が強まることは確認されていません。

セントジョーンズワートを急に中止してもよい?

セントジョーンズワートを長期間摂取している場合や、ほかの医薬品も服用している場合は、自己判断で急に中止せず医師や薬剤師に相談してください。

中止すると誘導されていた代謝酵素の働きが元に戻り、それまで速く分解されていた薬の血中濃度が上昇する可能性があります。特に、抗凝固薬、免疫抑制薬、抗てんかん薬、抗うつ薬などを併用している場合は、AGA治療薬以外の相互作用にも注意が必要です。

また、気分の落ち込みや抑うつ症状を理由にセントジョーンズワートを使用している場合は、サプリメントだけで対処せず、医療機関へ相談してください。

セントジョーンズワート以外のサプリメントは大丈夫?

セントジョーンズワートほどフィナステリドとの相互作用が明確なサプリメントは多くありません。しかし、サプリメントやハーブは医薬品と同じ方法で相互作用試験が行われているとは限りません。

フィナステリドを処方してもらう際は、医薬品だけでなく、次のものも医師に伝えることが大切です。

  • サプリメント
  • 健康食品
  • 漢方薬
  • ハーブティー
  • 海外から購入した製品
  • 複数の成分が入った美容・育毛サプリメント

まとめ

セントジョーンズワートとフィナステリドは、国内の電子添文上の併用禁忌ではありません。しかし、セントジョーンズワートによってフィナステリドの代謝が速くなり、血中濃度が低下することがヒト試験で確認されています。

実際のAGA治療効果がどの程度弱まるかは明らかになっていませんが、長期間治療を継続するAGAでは、効果を不安定にする可能性のある併用を積極的に選ぶ理由はありません。

フィナステリド服用中は、セントジョーンズワートを含むサプリメントや健康食品を自己判断で開始せず、使用中の場合は商品名と摂取量を処方医または薬剤師に伝えましょう。

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療を代替するものではありません。

 

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