精路閉鎖
精路閉鎖(せいろへいさ)は、男性の生殖器において、精子が精巣から尿道に至る途中の精管(精子の通り道)が何らかの原因で閉塞または閉鎖される状態を指します。これにより、精子が射精液に含まれず、無精子症の一因となります。
精路閉鎖の原因
精路閉鎖は以下のような原因で起こることがあります:
- 先天的な異常:
- 無精子管症候群(Cystic fibrosis):この遺伝性疾患は、精管の発育不全を引き起こし、精路の閉鎖を招くことがあります。無精子管症候群の患者では、精管が欠如していたり、閉塞していたりします。
- 先天的精管欠損:生まれつき精管が存在しないか、適切に発達していない場合もあります。
- 外傷や手術による閉鎖:
- 精管が外的な衝撃や手術によって傷ついたり、閉塞したりすることがあります。例えば、鼠径ヘルニアの手術や前立腺手術後に精管が損傷することがあります。
- 感染症:
- 精巣、前立腺、または副睾丸の感染が精管に炎症を引き起こし、その結果、閉塞を起こすことがあります。流行性耳下腺炎(おたふく風邪)などが原因となる場合があります。
- 精管の炎症や瘢痕:
- 過去の感染や炎症が原因で精管が硬化(瘢痕化)し、閉塞を引き起こすことがあります。
精路閉鎖による影響
精路が閉塞していると、精子は射精液に到達することができず、結果的に無精子症が発生します。この場合、精子は精巣内で正常に生成されていても、精液に含まれず、妊娠が困難になります。
診断
精路閉鎖の診断には、以下の方法が使用されます:
- 精液検査:精液中に精子が全く含まれていないことが確認される。
- ホルモン検査:FSHやテストステロンの値を調べ、精巣機能が正常かどうかを確認。
- 精管造影(Vasalography):精管が閉塞している場所を特定するための検査。
- 超音波検査:精巣や副睾丸、精管に異常がないかを確認。
治療
精路閉鎖の治療方法は原因に応じて異なります:
- 精管再建手術:精管の閉塞部分を手術で切開して再接続する方法です。この手術により、精子が正常に通るようになることがあります。
- 精子採取と体外受精(IVF):手術で精管を再接続できない場合、精巣内から精子を採取して体外受精を行う方法(TESE、PESAなど)があります。
精路閉鎖が原因であっても、適切な治療を行うことで、妊娠を目指す夫婦にとっては解決策が見つかることが多いです。