
非医療機関の医療広告|広告代理店やアフィリエイターにも規制は及ぶのか
医療機関の広告を作るのが広告代理店やアフィリエイターであれば、医療広告の規制は及ばない――そのように考えるのは正確ではありません。
厚生労働省の医療広告ガイドラインは、医師や医療機関だけでなく、広告代理店、アフィリエイター、患者、一般人なども規制の対象になり得るとしています。広告の作成者や掲載者が医療機関ではないことだけで、規制を免れるわけではありません。
誰が作ったかより、医療広告にあたるか
医療広告にあたるかどうかは、主に次の点から判断されます。
- 患者の受診を促す意図があるか
- 医療を提供する人や医療機関を特定できるか
- 医療や医療機関に関する内容か
この要件を満たすと、広告を医療機関が自ら作ったのか、代理店に依頼したのか、アフィリエイターが掲載したのかにかかわらず、医療広告として規制の対象になり得ます。複数の医療機関を紹介する比較サイトであっても、掲載先の医療機関を特定できれば、特定性がないとは限りません。
一方、特定の医療機関への受診を促す意図がなく、医療機関も特定されない一般的な健康情報は、医療広告にあたらない場合があります。ただし、記事の形式だけで決まるわけではありません。記事風に見せていても、費用を負担して掲載を依頼し、患者を誘引する内容であれば、広告規制の対象になり得るとガイドラインは説明しています。
広告代理店にも責任が及ぶことがある
広告代理店が医療機関から依頼を受けて広告を企画・制作する場合、広告内容が虚偽や誇大などの違反になっていないか、十分に注意する必要があります。
ガイドラインは、広告代理店や媒体、アフィリエイターについて、広告依頼者の責任で作成された広告を掲載・放送する際に、内容が法令やガイドラインに違反していないか留意するよう求めています。違反があった場合には、広告依頼者とともに指導などの対象となり得ます。
「表現は代理店が考えた」「医療機関は原稿を確認していない」という事情だけで、広告規制の問題がなくなるわけではありません。広告を企画した人、原稿を用意した人、内容を確認した人、掲載先を選んだ人など、関係者それぞれの役割が検討されます。
アフィリエイターの紹介記事も対象になり得る
アフィリエイターは、ブログやウェブサイトなどで閲覧者を特定の医療機関に誘導し、成果に応じて報酬を受け取る広告を行う人を指します。厚生労働省のガイドラインは、アフィリエイターも医療広告規制の対象になり得ると明記しています。
たとえば、次のような仕組みでは、記事の内容や掲載先、報酬条件などを含めて、医療広告にあたるかが問題になります。
- 特定のクリニックへの予約や相談を促す
- 予約や来院などの成果に応じて報酬が発生する
- 記事内で特定の医療機関や医師を紹介する
- 比較記事の形で、特定の医療機関への申込みを促す
- 「体験談」「おすすめ」の形で、受診を誘導する
アフィリエイトリンクがあることだけで直ちに医療広告と決まるわけではありません。しかし、成果報酬を受けながら特定の医療機関への受診を促す構成であれば、広告としての性質が問われます。
「第三者が書いた記事」でも広告になる
記事の見た目がニュース、体験談、ランキング、専門家の解説であっても、それだけで広告ではないとはいえません。
厚生労働省のガイドラインは、医療機関が費用を負担して掲載を依頼する記事風広告を、医療広告規制の対象として扱うとしています。また、患者の手記であっても、医療機関から依頼を受けたり、金銭などの謝礼を受けたりしている場合は、受診を誘引する広告と判断されることがあります。
重要なのは、記事の形式ではなく、誰の利益のために作られ、どのように受診へ誘導しているかです。
広告の規制対象でも、関係者の責任が同じとは限らない
広告代理店やアフィリエイターも規制対象になり得ることと、関係者全員に同じ責任が自動的に生じることは別です。
広告の依頼者、原稿の作成者、掲載者、報酬を受ける人がどのように関与したかは、案件ごとに異なります。ガイドラインが示しているのは、代理店やアフィリエイターも対象になり得るということです。実際の指導や責任の判断では、広告の内容、制作・確認の経緯、医療機関との契約や報酬関係などが検討されます。
景品表示法など、別のルールも関係する
医療広告にあたるかどうかとは別に、広告であることを隠した表示が、景品表示法上のステルスマーケティング規制に関係する場合があります。
消費者庁は、ステルスマーケティング規制の対象となるのは、表示内容の決定に関与した商品・サービスの広告主であると説明しています。また、専門家の客観的意見のように見えるコメントでも、事業者が報酬を支払って依頼した内容であれば、広告主による表示と受け取られる可能性があります。医療広告規制と景品表示法では、対象や判断の枠組みが異なるため、別々に確認する必要があります。
読者が確認したいポイント
医療機関を紹介する記事やランキングを見たときは、次の点を確かめると、広告の背景を把握しやすくなります。
- 記事が特定の医療機関への予約や受診を促しているか
- 広告・PR・アフィリエイトなどの表示があるか
- 運営者や記事の作成者が誰か
- 医療機関との契約、報酬、紹介料の関係が示されているか
- 「ランキング」「おすすめ」の根拠や評価方法が説明されているか
- 医療機関の広告として、表示できる内容や表現のルールに配慮しているか
広告表示が見当たらないことだけで、広告ではないと判断することはできません。記事の構成やリンク、報酬の仕組みなども含めて見る必要があります。
非医療機関だから規制の外、とはいえない
医療広告の規制は、医療機関の公式サイトや院内ポスターだけに限られません。広告代理店が制作した記事や、アフィリエイターが掲載する紹介ページも、特定の医療機関への受診を促す広告にあたれば、規制の対象になり得ます。
「第三者が書いた」「メディアの記事として掲載した」「成果報酬型で運営している」といった事情は、医療広告規制を避ける根拠にはなりません。表示の形式だけでなく、受診を促す意図、紹介される医療機関、医療機関との関係を確認することが大切です。
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