AGA治療中に避けたいサプリメント|セントジョーンズワートに注意
AGA治療中にサプリメントを使用している人は少なくありません。しかし、「健康食品だから処方薬に影響しない」とは限りません。
特に注意したいのが、セントジョーンズワートです。フィナステリドの代謝を促進し、薬の血中濃度を低下させる可能性が報告されています。
セントジョーンズワートとは?
セントジョーンズワートは、和名を「セイヨウオトギリソウ」、学名を「Hypericum perforatum」といい、気分の落ち込みやストレス対策をうたうサプリメントなどに使用されるハーブです。
商品によっては、次のように表示されています。
- セントジョーンズワート
- セイヨウオトギリソウ
- St. John’s Wort
- Hypericum perforatum
- ヒペリクムエキス
名称が統一されていないため、商品名だけでなく原材料表示まで確認する必要があります。
フィナステリドの効果を弱める可能性がある理由
フィナステリドの代謝には、肝臓や腸に存在する薬物代謝酵素「CYP3A4」が関与します。PMDAの電子添文
一方、セントジョーンズワートにはCYP3A4などの働きを強める「酵素誘導」という作用があります。併用するとフィナステリドの分解が速まり、体内にとどまる薬の量が減少する可能性があります。厚生労働省
つまり、問題となるのは副作用が急激に強くなることよりも、フィナステリドが本来期待されるように作用しにくくなることです。
臨床研究でも血中濃度の低下が報告されている
健康な成人男性12人を対象とした研究では、セントジョーンズワートを14日間摂取した後、フィナステリドの薬物動態に次の変化が認められました。
| 指標 | セントジョーンズワート摂取後の変化 |
|---|---|
| 最高血中濃度(Cmax) | 約58%低下 |
| 薬物曝露量(AUC) | 約34%低下 |
| 消失半減期 | 約46%短縮 |
この研究では、セントジョーンズワートによってフィナステリドの代謝が促進され、血中への曝露量が低下したと結論づけられています。PubMed掲載研究
ただし、研究で使用されたフィナステリドは5mgであり、AGA治療で一般的に用いられる1mgとは条件が異なります。また、毛髪の変化を直接評価した研究ではありません。そのため、「併用すると必ずAGA治療が無効になる」とまでは断定できませんが、効果を弱める可能性を考えて避けるのが安全です。
英国NHSも、セントジョーンズワートによってフィナステリドが本来どおりに働かなくなる可能性があると注意を促しています。NHS
デュタステリドにも影響する?
デュタステリドも主としてCYP3A4で代謝される薬です。そのため、セントジョーンズワートによって血中濃度が低下する可能性は理論上考えられます。PMDAの電子添文
ただし、フィナステリドと同じ条件で影響を直接確認した臨床データは限られています。デュタステリドを服用している場合も、自己判断での併用は避け、医師または薬剤師へ相談しましょう。
飲む時間をずらせば併用できる?
フィナステリドとセントジョーンズワートを朝と夜に分けても、相互作用を十分に回避できるとは考えられません。
セントジョーンズワートは、フィナステリドと胃の中で直接反応するわけではなく、薬物代謝酵素の働きそのものを変化させます。その影響は摂取している時間だけに限定されないため、数時間ずらすだけでは対策になりません。
ほかに注意したい育毛サプリメント
セントジョーンズワート以外のサプリメントが、一律にフィナステリドやデュタステリドの効果を弱めるわけではありません。ただし、次の製品には注意が必要です。
複数のハーブを配合した製品
「ストレス対策」「睡眠サポート」「メンタルケア」などをうたう製品に、セントジョーンズワートが含まれていることがあります。主成分だけでなく、すべての原材料を確認してください。
高用量のビオチン
ビオチンがフィナステリドの効果を低下させることは確認されていません。しかし、高用量のビオチンは甲状腺ホルモンなど一部の血液検査に影響し、誤った検査結果を生じさせる可能性があります。また、ビオチンによる毛髪改善効果は、欠乏症のない人では十分に証明されていません。米国NIH
血液検査を受ける場合は、ビオチンを使用していることを医療機関へ伝えましょう。
セレンを含む高用量サプリメント
セレンは必要な栄養素ですが、過剰摂取によって脱毛や爪の異常などが起こることがあります。「髪のため」と複数のサプリメントを併用すると、成分の重複によって摂取量が増える場合があります。米国NIH
すでに一緒に飲んでしまった場合
1回または数回併用しただけで、AGAが急激に進行するとは考えにくいため、慌ててフィナステリドを追加服用する必要はありません。
次の対応を取りましょう。
- フィナステリドを自己判断で増量しない
- サプリメントの商品名と成分表示を確認する
- 継続していた期間と摂取量を記録する
- 処方した医師または薬剤師に相談する
セントジョーンズワートを気分の落ち込みなどに使用している場合は、自己判断で急に中止せず、使用目的も含めて医師へ伝えてください。
まとめ
AGA治療中に特に注意したいサプリメントは、セントジョーンズワートです。薬物代謝酵素CYP3A4の働きを強め、フィナステリドの血中濃度を低下させる可能性があります。
サプリメントも「服用中のもの」の一つです。AGA治療を受ける際は、医薬品だけでなく、ハーブ、健康食品、ビタミン・ミネラル製品も医師や薬剤師へ申告しましょう。
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