半月板の損傷・摩耗とは

半月板(はんげつばん)は膝関節内に存在するC字型の軟骨で、膝の大腿骨と脛骨の間にあり、クッションのような役割を果たします。膝の動きをスムーズにし、衝撃を吸収する重要な構造です。しかし、加齢や外的な負荷、スポーツや事故などによって、半月板は損傷や摩耗を起こすことがあります。


半月板損傷の原因

  1. 急激な外力や捻挫
    • スポーツや事故で膝をひねったり、急に方向を変えたりしたときに半月板が引き裂けたり、裂けたりすることがあります。特に、サッカーやバスケットボールなどのスポーツでは頻繁に見られる損傷です。
  2. 加齢による劣化
    • 加齢とともに半月板の弾力性が低下し、摩耗が進行します。年齢が上がるにつれて、半月板は徐々に薄くなり、裂けやすくなります。これは、体内での水分の減少や栄養供給の不十分さが原因です。
  3. 過剰な使用や膝への負担
    • 長時間の立ち仕事や、膝を酷使する運動を繰り返すことによって、半月板に負担がかかり、摩耗が進行することがあります。
  4. 膝関節の異常
    • 膝にある関節炎や変形性膝関節症などの病気が進行すると、膝の構造が変化し、半月板への負担が増えるため、損傷や摩耗が加速します。

半月板損傷・摩耗の症状

  • 膝の痛み
    • 半月板が損傷すると、膝に痛みを感じることが多いです。特に、膝を曲げたり伸ばしたりしたときに痛みが強くなることがあります。
  • 腫れ
    • 損傷や摩耗によって膝に炎症が生じ、関節内に水が溜まることがあります。このため、膝が腫れたり、膝を動かしにくくなります。
  • 可動域の制限
    • 半月板の損傷や摩耗によって、膝が思うように動かなくなり、歩行や階段の昇降などの日常生活に支障が出ることがあります。
  • ひっかかり感やロッキング感
    • 半月板が破れたり、摩耗して不規則な形になった場合、膝関節内で破片が引っかかることがあり、膝を動かすときに「カクッ」といった音がしたり、動きが止まる感じ(ロッキング)を感じることがあります。
  • 安静時にも痛み
    • 半月板が損傷している場合、歩いていないときや安静時にも膝に鈍い痛みが続くことがあります。

半月板損傷・摩耗の治療方法

1. 保存療法

  • 安静と冷却: まずは膝に負担をかけないようにして、痛みや腫れを和らげます。アイスパックで冷やすことで炎症を抑えます。
  • 薬物療法: 鎮痛剤や抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや炎症を軽減します。
  • 物理療法: リハビリやストレッチを行い、膝周りの筋肉を強化し、膝関節への負担を減らすことができます。特に、大腿四頭筋を鍛えることが重要です。

2. 手術療法

  • 関節鏡手術: 半月板が軽度に損傷している場合は、関節鏡手術(内視鏡手術)で修復することがあります。この方法では、小さな切開をしてカメラと器具を使って治療を行うため、体への負担が少ないです。
  • 半月板部分切除: 損傷がひどい場合は、損傷した部分を切除する手術を行うことがあります。これにより、痛みが軽減され、膝の可動域が改善しますが、長期的には関節のダメージが進む可能性があります。
  • 半月板移植: ひどい損傷の場合や再生が難しい場合には、他人から提供された半月板を移植することがあります。移植により膝の機能を改善することができます。

3. 再生医療

  • PRP療法(自己血小板血漿療法)や幹細胞治療など、再生医療を使って半月板の修復を試みる方法もあります。これらの方法では、膝関節内に自身の血液成分を注入して、軟骨や半月板の再生を促します。

予防方法

  • 体重管理: 適正な体重を保つことで膝への負担を減らし、半月板を守ることができます。
  • 適度な運動: 膝に負担をかけない運動(ウォーキング、水泳、サイクリングなど)をすることで、膝周りの筋肉を強化し、半月板をサポートします。
  • ストレッチと柔軟性: 膝の柔軟性を保ち、筋肉を柔らかくすることが重要です。無理な動作を避けることで、半月板の損傷を予防できます。

まとめ

半月板の損傷や摩耗は膝関節において重要な問題です。加齢や外的な衝撃、過剰な負荷などが原因となり、痛みや可動域の制限を引き起こします。初期段階では保存療法で対応し、症状が進行すると手術や再生医療が検討されることもあります。予防には適切な運動や体重管理が有効です。