変形性膝関節症とは
変形性膝関節症(Osteoarthritis of the Knee)とは
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり、傷ついたりすることにより、膝に痛みや動きの制限を引き起こす疾患です。膝の関節は、膝の骨(大腿骨、脛骨、膝蓋骨)が接する部分に軟骨というクッション材があり、これが滑らかに動くことで膝関節を保護します。しかし、加齢やその他の要因によって軟骨がすり減ることで、骨同士が擦れ合い、痛みや炎症を引き起こします。
変形性膝関節症の主な原因
- 加齢
- 最も一般的な原因で、年齢が上がるにつれて軟骨が劣化しやすくなります。
- 過剰な体重
- 体重が重いと膝にかかる負担が増し、軟骨の摩耗が早まります。肥満は変形性膝関節症のリスクを高める要因です。
- 膝の怪我や手術歴
- 膝にケガや手術歴があると、関節の構造が変わり、軟骨のすり減りや関節炎が起こりやすくなります。
- 遺伝的要因
- 一部の人は遺伝的に軟骨が弱かったり、関節の構造が変わっていたりするため、早期に変形性膝関節症を発症することがあります。
- 性別とホルモンの影響
- 女性は男性よりも変形性膝関節症を発症しやすいとされています。特に閉経後、ホルモンの変化が関係していると考えられています。
- 職業や運動
- 膝に負担をかける仕事や激しい運動(例:スポーツ選手など)も関節にダメージを与え、発症リスクが高まります。
変形性膝関節症の主な症状
- 膝の痛み
- 歩行や立ち上がりの際、膝に痛みを感じることが多いです。初期段階では運動後に痛みが出ることが多いですが、進行すると安静時にも痛むことがあります。
- こわばりや可動域制限
- 膝の動きが硬くなり、膝を曲げる、伸ばすといった動作が難しくなることがあります。特に朝起きたときや長時間座っていた後にこわばりが生じやすいです。
- 腫れや炎症
- 関節の周りが腫れることがあり、これは関節内の炎症が原因です。
- 音(クリック音、ガリガリ音)
- 膝を動かすと音がすることがあります。軟骨のすり減りが進むと、骨同士が直接触れることがあり、これが音として聞こえます。
- 歩行困難
- 痛みやこわばりが進行すると、膝を使うのが難しくなり、歩行や階段の昇降が困難になります。
変形性膝関節症の進行段階
- 初期段階
- 軟骨の軽微なすり減りが始まり、痛みやこわばりが時々感じられる程度です。関節の動きには大きな問題はありません。
- 中期段階
- 軟骨のすり減りが進み、痛みが頻繁に現れます。動作が制限され、膝を伸ばしきれないことが増えます。
- 末期段階
- 軟骨がほとんどなくなり、骨が直接触れ合うことによって激しい痛みと炎症が起こります。膝の可動域が大幅に制限され、日常生活に支障をきたします。
変形性膝関節症の治療方法
- 薬物療法
- 鎮痛剤や抗炎症薬(NSAIDs)で痛みを和らげます。
- ヒアルロン酸注射やステロイド注射で、関節内の炎症を抑えることができます。
- リハビリテーション
- 膝を支える筋肉を強化することで、膝への負担を減らし、可動域を改善します。物理療法(温熱療法、マッサージなど)も効果的です。
- 生活習慣の改善
- 体重管理や適度な運動が重要です。ウォーキングや水泳など、膝に負担をかけずにできる運動を取り入れましょう。
- 外科手術
- 症状がひどく、保存療法が効果を示さない場合は、関節鏡手術や人工膝関節置換手術(人工膝の埋め込み)が考慮されることがあります。
まとめ
変形性膝関節症は、加齢や過剰な負担が原因で膝の軟骨がすり減り、痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。早期の治療と適切な生活習慣の改善が症状の進行を遅らせるため、早期に対策をとることが重要です。