淋病（淋菌感染症）は淋菌が引き起こす性感染症です。性別、感染箇所によって症状は異なります。性感染症のなかでもクラミジアに次いで感染者数が多く、淋病とクラミジアの同時感染がよくみられます。しかし淋病の症状のほうが比較的強く、クラミジアに気づかずにいることもままあるため、淋病とクラミジアは同時に検査を行うことをおすすめします。
クラミジア・淋病 セルフ検査キット淋病の症状
感染箇所が性器・咽頭か、また男女かで症状が異なり、検査もそれぞれに応じたものが必要です。
男性
淋菌性尿道炎：感染から2～9日前後で、排尿時の痛みや、尿道から白っぽい膿が現れます。放置すると前立腺炎などに進行し、不妊の原因になることがあります。
淋菌性咽頭炎：喉の腫れや痛みなど風邪に似た症状、または無症状。放置すると扁桃腺炎などに進行します。
女性
子宮頸管炎：男性に比べ目立った症状が現れないことが多く、検査や受診の機会の逸失につながりやすいです。放置すると子宮内膜や卵管などの炎症を引き起こし不妊の原因になることがあります。
淋菌性咽頭炎：淋菌性咽頭炎：喉の腫れや痛みなど風邪に似た症状、または無症状。放置すると扁桃腺炎などに進行します。
性器・咽頭以外の箇所
目の結膜への接触は症状の激しい淋菌性結膜炎、無治療のまま放置すると全身の血液に淋菌がまわり、関節や皮膚で急性の炎症がおこることがあります。
| 男性 |  |
排尿時の痛み（強い） 尿道に痒みのような違和感 尿道から多量の分泌物 |
| 女性 |  |
おりものの増加 不正出血（生理ではない出血） 軽度の異臭 |
| 咽頭炎 |  |
のどの痛みや腫れ：風邪に似た症状が、感染に気付きづらい原因です。 |
| 結膜炎 |  |
感染後2日以内と早く発症し、症状は激しいのですぐに気づきます。 |
| 直腸炎 |  |
下痢や不快感がありますが、多くは無症状です。 |
治療を行わずにいると、血管を介して淋菌が全身に回り、主に関節や皮膚に激しい炎症が現れます。まれに心膜炎、心内膜炎、髄膜炎および肝周囲炎を引き起こします。
感染経路
淋菌は性交渉などで、感染部位の粘膜や分泌液との接触で感染します。淋菌自体は粘膜から離れるとすぐに死滅するものですが、1回の性交渉で30~40%と高い確率で感染します。また、出産時に女性が感染していると産道を介して赤ちゃんにも感染します。
潜伏期間と検査
性行為の方法に問題があったかなと不安を感じた時は、早めに検査・受診しましょう。泌尿器科、産婦人科などで血液検査（抗体検査）を受けることができますが、他人に検査・治療を知られたくないときは、ひとまずセルフ検査キットで感染の可能性を確認してみることができます。膣内の分泌物や尿から病原体を検出します。症状が現れる淋病の潜伏期間は2～9日ありますが、感染の可能性を検査キットで確認するには、問題があると考えた性行為から24時間をおいて下さい。
治療
抗菌薬による治療が行われますが、用いられる薬の種類は感染部位によって異なり、経口薬や注射薬などがあります。近年、耐性菌も見つかっており、治療に効果がなければ異なる治療薬を用いることがあります。淋病とクラミジアの同時感染が判明した場合はそれぞれに対する治療が行われます。
予防
性行為時にはコンドームを必ず使用することです。治療を行っても免疫はできませんので、状況によって再感染します。感染していても症状がなく感染に気付かないことがあるので、相手が不特定の場合や、複数の性的パートナーがいる場合には定期的に検査を行うことが、自身の身体や周囲への感染を広げないためにも重要です。